実は「この中に、お医者さんはいませんか?」に応じる医者はいない!?
ドラマではよくあるシーンだけど…?
日本のドラマを見ていると、飛行機に搭乗している最中に突然苦しそうにして倒れこむ人を見て、「この中にお医者さんはいませんか?」と医師を探すというシーンが登場します。
そして颯爽と現れたドラマの主人公である医師が応急処置を行い、急病人は命を取り留めるというエピソードに繋がるのです。
僕は飛行機のことをよく知っているので「このドラマの脚本を書いた人は実態を知らないのだな…」と思っています。
果たして現実の世界ではどのような対応をしているのかを知ると、あなたの医師に対する認識が変わってしまうかもしれません。
医師は薄情な人が多い?
実は、飛行機の中で急病人が発生してお医者さんはいませんかと問いかけられても、その声に応じる医師はほとんどいないと言っても良いでしょう。
ここで呼び出しに応じる医師は余程の使命感に燃える人なのかもしれません。
実際に医師にこのような状況になった場合、あなたはどう対応する?と聞いてみたところ、医師の呼び出しを受けても飛行機の中では絶対に応じないと答える人が半数以上になるそうです。
現実にこのような場面に出くわしても、恐らく手を挙げる医師はほとんどいないかもしれません。
このような話を聞くと、お医者さんなのに急病人が目の前で苦しんでいるのを見て何も思わないのか!薄情過ぎる!と思われるかもしれませんが、そもそも医師免許を取得している人がこのような呼びかけに対して必ず応じなければならないという義務はありません。
しかし、目の前で苦しんでいる人がいると何とかしてあげたい…という気持ちがあれば助けてくれても良いのではないか?と思う人も多いですが、仮に何とか応急処置をしようとしても設備が何もない状況ではどうにもできない場合が多いのです。
もし応急処置ができたとしても結果的に助けてあげられなかった場合は、罪に問われて罰せられるという結末が待っています。
多くの医師はこの結末を恐れているからこそ、目の前で急病人が苦しんでいても何もしてあげないのです。
助かる見込みがあれば助ける場合も
経験豊富な医師であれば急病人がどのような症状なのかによって助かる見込みがあるのか、そうではないのかがわかるものです。
明らかに助かる見込みがなく、自分が手をあげて何らかの処置をしたとしても意味が無いと判断できるなら、心を鬼にしてでも医師であることを名乗り出ないでしょう。
何も設備がない状況でも応急処置をしてあげたらすぐに回復しそうだと判断できるなら、自ら医師であることを名乗って処置を施す場合があるかもしれません。
空の上を飛んでいる飛行機の中では医療行為はできないに等しいため、あまり無理難題を医師に押し付けないという考え方を持っていた方が良いです。